【論文から導く】科学的に正しいシャンプー方法とは?

頭皮ケア方法

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こんにちは。長年の頭皮のかゆみを解決するべくアレコレ試している化粧品開発者のかこです。

前回の記事で美容師さんのシャンプー動画20本から髪の洗い方のエッセンスを凝縮してお伝えしました。これは美容師さんの経験によるもので、いわば「職人技」だと私は捉えています。

いっぽうで、科学的データに基づいた効率のいいシャンプー方法があるとしたら、知りたくありませんか?

少なくとも私は知りたかったので、国内外の論文を読み漁って今回の記事を書きました。

「予洗い」「すすぎ」などのパートごとに6つのQ&A形式でお届けします。

はじめに:シャンプー方法の研究の現状

「効率のいいシャンプー方法」について、化粧品メーカーによる学会発表や論文はほとんど見つかりません。
おそらく、次のような理由によるのでしょう。

  • シャンプーは消費者がそれぞれ行うものであり、やり方を化粧品メーカーがコントロールできない
  • 効率のいいシャンプー方法がわかってもシャンプーの売り上げが増えるわけではない

そんな中、「効率のいいシャンプー方法」が研究されている唯一と言ってもいい分野があります。

それは「看護」の分野。

自分でシャンプーできない患者さんに対して、看護師さんは限られた水の量で、短時間で効率よくシャンプーを行う必要があることから、「効率のいいシャンプー方法」が研究されているというわけです。

それでも研究途上ではありますが、現時点でわかっていることをこの記事にまとめています。
それではQ&A形式で見ていきましょう。

シャンプー頻度の正解は?

A. 毎日でOK!

現代の日本で毎日シャンプーをするのは一般的ですが、一部では洗いすぎを気にする風潮もあり、何が正解なのか迷いますよね。

資生堂、P&Gの研究で次のようなデータが出ているので、シャンプーは毎日、少なくとも週に5~6回するのが適切と考えられます。

  • 頭皮の皮脂は約24時間でシャンプー前の量にまで戻る[1]
  • 毎日髪を洗うほうが、毎日洗わない場合よりも頭皮・髪ともに状態がよい[2]
  • 適切なシャンプーを使えば、毎日洗っても髪は傷まず[2]、頭皮の皮脂を減らして水分量を増やすことができる[9]

シャンプー前のブラッシングは必要?

A. ブラッシングが汚れ落ちを高める明確なデータはなし。

ブラッシングの前後でフケ、皮脂、細菌の量が変化するか調べた次のようなデータがあります。

  • ブラッシングで目に見えるフケは除去される傾向にある[3]
  • ブラッシングの前後で目に見えない小さなフケや皮脂、細菌の量に変化はない[3]

髪のもつれを解くことでその後のシャンプーをしやすくなることは期待できますが、

前回の記事の作成過程で見たシャンプー動画や、今回の記事作成のために読んだ論文でも約半数でブラッシングが省略されていたことから、重要度はあまり高くないと考えられます。

予洗いって必要?

A. その後の洗い方によっては、しなくてもいい。

歯切れの悪い回答になりました(笑) まずは次のデータをご覧ください。

  • シャンプーを60%に薄めて使う場合、1分間の予洗いの有無で汚れ落ちに差がなかった[4]
  • 「2Lで予洗い+原液のシャンプー使用」よりも「予洗いなし+10%に薄めて泡立てたシャンプー使用」のほうが皮脂が落ちていた[5]

このことから、シャンプーを上手に頭皮全体に行きわたらせることができれば、必ずしも予洗いは必要ないといえます。

いっぽうでシャンプーを原液で使う場合は、髪と頭皮が十分に濡れていないとシャンプーを泡立てて頭皮全体に行きわたらせるのが難しいため、一般的に予洗いの重要性が言われていると考えられます。

シャンプーのつけ方にコツはある?

A. 泡立てに自信のない人は薄めて使うのもアリ!

上で書いた内容とかぶりますが、次のようなデータがあります。

  • 「2Lで予洗い+原液のシャンプー使用」よりも「予洗いなし+10%に薄めて泡立てたシャンプー使用」のほうが皮脂が落ちていた[5]
  • シャンプーを原液で使った場合でも、皮脂と細菌を落とすことはできる[6]

上手にシャンプーを泡立てて洗えるのであればシャンプーを原液で使っても汚れは落ちますが、泡立てが苦手な人は薄めて使うと全体に行きわたりやすく、洗浄力アップが期待できます。

ただし、シャンプーを薄めたまま保存するのはNGです! 雑菌が増える可能性があるためです。
薄める場合は毎回シャンプーするときに薄めて、全部使いきってください。

シャンプーのすすぎは何分すればいい?

A. シャワーで1~2分が目安。

看護の分野では患者さんが起き上がれずシャワーが使えない状況を想定し、ピッチャーに入れたお湯をかけて効率よくすすぎを行う方法が検討されています。そこで次のようなデータがあります。

  • セミロングの人がシャンプー6mL(ポンプ2プッシュ)を使った場合、すすぎに必要な湯量は7~19L(平均13.4L)だった[7]
  • 髪の短い男性がシャンプー3mL(ポンプ1プッシュ)を使った場合、すすぎに必要な湯量は5~12L(平均8.1L)だった[7]

ここでいう「すすぎに必要な湯量」は、すすいだ水に含まれる界面活性剤の量が0.5ppm以下であることが指標となっています。0.5ppmは過去の水道水の水質基準がもとになっています。

一般的なシャワーの水量は1分あたり約10Lですので、1~2分すすげばシャンプーを洗い流せると考えられます。

節水シャワーヘッドを使っている場合は水量が少なくなっているので注意してくださいね。

効率のいいシャンプーのすすぎ方は?

A. 表面を流すだけでは不十分。手のひらにためたお湯の中で髪をゆり動かすように!

こちらも看護の分野で検証が行われていて、次のようなデータがあります。

  • 「髪に指を通しながら湯を流す」だけでは髪の毛についた細菌が十分洗い流されず、「手のひらに湯をためて頭皮や髪を揺らす」ことで洗い流せた[6]
  • シャンプーを原液、50%希釈、10%希釈した場合の比較では、希釈するほどすすぎに必要な湯量が減った[8]

ただお湯を流すだけでは髪の重なっている内側が洗えないので、手のひらをお椀のようにしてお湯をためて、髪をゆり動かすようにして汚れを水に溶かし出しましょう。

また、さらに効率をよくしたいならシャンプーを希釈して使うのが有効です。

まとめ

  1. シャンプー頻度は毎日でOK
  2. ブラッシングが汚れ落ちを高める明確なデータはなし
  3. シャンプーを原液で使うなら予洗いはしっかりと
  4. 泡立てに自信のない人はシャンプーを薄めて使うのもアリ
  5. すすぎはシャワーで1~2分が目安
  6. 髪をお湯の中でゆり動かすことですすぎ効率アップ

以上が論文から導いた「科学的に効率のいいシャンプー方法」です。

調べていて特に驚いたのは参考文献6で記載されている、すすぎの方法で洗浄効率がかなり変わってくる点です。全文無料公開されているので、深く知りたい方はぜひ読んでみてください。

シャンプー方法は今日から変えられて、しかもお金がかからないので頭皮トラブルを抱えている方が最初に見直すポイントとして最適です。

この記事が少しでも役に立てば嬉しいです、最後までお読みいただきありがとうございました。

参考文献

  1. 中村 雅子(1994)「頭皮皮脂分泌量に関する研究 (第1報) 洗髪後の頭皮皮脂分泌量の回復について」日本化粧品技術者会誌, 27(4), 546-549
  2. Supriya Punyani, et al(2021)「The impact of shampoo wash frequency on scalp and hair conditions」Skin Appendage Disord, 7(3)
  3. 社本 生衣(2016)「安静臥床患者の細菌汚染分析による洗髪技術の開発」愛知県立大学大学院看護学研究科博士論文
  4. 中野 榮子, 他(2008)「洗髪技術のエビデンスに関する研究 ~予備洗いの有無による清浄度と快適性の検討~」福岡県立大学看護学研究紀要, 6(1), 35-39
  5. 柿原 加代子(1991)「シャンプー剤濃度と洗浄効果の関係」看護展望, 16(8), 938-944
  6. 社本 生衣(2018)「細菌汚染減少に効果的な洗髪技術の検討」日本看護学会誌, 38, 245-254
  7. 本田 容子, 他(2004)「基礎看護技術洗髪における「すすぎ」の研究 ー界面活性剤残留濃度と洗浄料の分析ー(第1報)」藍野学院紀要, 18, 95-103
  8. 本田 容子, 他(2005)「基礎看護技術洗髪における「すすぎ」の研究 ー効率的なすすぎ方法の検討ー(第2報)」藍野学院紀要, 19, 89-96
  9. 川島 眞(2007)「保湿のメカニズムと頭皮ケア」皮膚と美容, 39, 214-219

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